北島社長曰く、実は私はあまり酒に強いほうではありません。 だからこそ、呑むときは酔い覚めのよい、本当にうまいと思う酒を飲みたい。 そうしてたどりついたのが完全発酵の食中酒です。 飲めばスッと体に溶けこみ、それでいてコシがある酒。 そうした酒は熟成に耐え、燗で力を発揮します。 しかし近年は、表面だけの甘さや華やかな香りのあるインパクト重視の酒ばかり。 きっと試飲会や飲み放題で受けるのはそうした酒でしょう。 けれど、そうしたものを造り手が追いかけてしまうと、消費者が飽きたときに終わりがくる。 そこで私たちは歴代のブランド「御代栄(みよさかえ)」に加え、平成14年から新たなブランド「北島」を世に送り出し、さまざまな挑戦をはじめました。 なかでも、酒づくりの原点「きもと造り」との出会いは大変重要なものとなりました。 純米なのに重くない、重くないのに体に沁み渡る。 完成されたデジタル音源のCDが聴けるのに、アナログのレコードが心地よい。 LED電球に切り替えられてしまっても、白熱球が癒され温かい。 高速道路の上を人力車で駆け抜けるような思いできもとを造っていますが、きっとそこには本来の日本酒らしい奥行を感じ取れる味わいがあると信じて、その学びをすべての造りにいかしています。 |